マーベル原作映画「ヴェノム レット・ゼア」上映開始! 観に行ってきた感想。ダークヒーローについて少し考察してみました。

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スパイダーマンの宿敵であり、マーベル史上最も残虐なダークヒーローとして誕生、2018年に劇場公開されると全世界興行収入940億円という大ヒットを記録したのが映画「ヴェノム」でした。
主演はトム・ハーディ。
1作目の映画「ヴェノム」の魅力は、(スパイダーマンが連れてきてしまった)地球外生命体であるタール状の寄生生物シンビオートが人間に対する捕食者であり寄生生物であり、寄生された元新聞記者のエディ(トム・ハーディ)が体やともすれば心まで蝕み始めながらも何とか最終的には宿敵を倒すというもので、結果的にエディと共生、協力体制を築くとは言え、前半は容赦なく人を襲い喰らうという捕食者としての悪の面が十分描かれていました。
加えて、元恋人のアン・ウェイング(ミシェル・ウィリアムズ)はエディとのいい感じの絡みもあり、ストーリーの上でも彼女の機転がエディを救うきっかけにもなりました。

さて、今回はその続編となります。
よく2作目というのは難しいとのいいますが、どうでしょうか?

ヴェノム レット・ゼア

いつの時代にもダークヒーローって、人気⁈

そうなんですよね。自分の好きな映画でダークヒーロー映画っぽいのを探してみても沢山見つかる!
自分のもっている過去の映画パンフレットをざっと見ても、「キルビル」「キックアス」、「シン・シティ」、「ブレイド」、「ダークナイト」、「ウオッチメン」、「リディック」、「デッドプール」
ダースベイダーだって、人気でいったら上に書いているどの人物より人気は高いと思うし、「X-メン」のプロフェッサーX「デッドプール」だってダークヒーローかも知れません。

アニメでいうとダークヒーローが主人公の代表作はサンライズを代表する大ヒットアニメ
「コードギアス反逆のルルーシュ」
主人公ルルーシュ・ランペルージは目的のためには人を殺すことをためらいません。

映画の話に戻すと私のベスト5に入る大好きな映画「レオン」の主人公である殺し屋のレオン。
昔の香港カンフー映画はほとんど復讐ものだし日本ではそれほど知られていないけどフランスでは有名人で映画化もされたもと犯罪者で後に私立探偵になった実在の人物「ヴィドック」も広義なダークヒーローだと言えるでしょう。

犯罪者だけど絶大な人気があるという意味では「アルセーヌ・ルパン」や「ルパン三世」だってそう。「ルパン三世」と言えば江口洋介さんが主演した「GOEMON」をはじめとして数限りないほど日本では映画化された石川五右衛門も立派なダークヒーロー。
もっとも石川五右衛門の一族は全て時の権力者である秀吉に女子供も含めて全て処刑されたので十三代目の末裔であるルパン三世の盟友である五右衛門は存在できないはずなんですけどね。
人間以外に目を向けると「ゴジラ」だって立派なダークヒーローだと思う。

あんまり範囲を広げるときりがないので、ここでは「自身の目的(理想や復習)の為に殺人さえ犯す架空の人物」に絞って「ダークヒーロー」ということにしましょう。(吸血鬼や超能力者も元人間ということで含める)

でもちょっと待てよ⁈

マーベルを代表する「ダークヒーロー」が「ヴェノム」
少なくともソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントでは「ヴェノム」をダークヒーローとして売り出しています。
とても、スパイダーマンの適役として出てきたスピンオフとは思えない存在感になってしまいました。

だけど、疑問に思います。果たして「ヴェノム」ってダークヒーローと言えるのだろうか?と。
ヴェノムの人から逸脱した行動は寄生というか今や共生している寄生生物シンビオートの行動によるものです
寄生生物シンビオートは人間に対する捕食者であり上位種、その行動や倫理観は人間のルールに従う必要はありません。
ゴジラがいくら暴れて敵対行動をとっても法律で縛られないのと同じです。

となれば、ダークヒーローと呼べるのはシンビオートであるヴェノムではなくて、彼の行動を受け入れているエディのことを言うべきなのでしょう。ただ、行動の主導権をかなりヴェノムに取られ、存在感も大きすぎるヴェノムに対してエディをダークヒーローと呼ぶのはかなり難しい感じになってます。

で映画「ヴェノム レット・ゼア」の個人的なお勧め度をいうと

映画「ヴェノム レット・ゼア」のお勧め度 ★3.0です

5段階評価です。あくまでも個人的感想なので、人によっては★5だったわい!と言われても全く否定するつもりはありません。
トム・ハーディの名演技とハリウッド映画ならではのお金のかかったVFXは流石だとおもいます。
それで★3つ。

でも、私個人的に不満点が4つほどありました。

1.カタルシスがなかった。
最大の理由はこれかも。
映画のみでなく、小説などもそうでしょうが最後が良ければ途中退屈なシーンがあっても結構許せるものです。

寄生した異星生物が共生した人間とともに同じ種族と争う作品ってのは岩明均氏原作コミック「寄生獣」がそうでしたよね。
あの漫画は最後まで読みましたが、パラサイトは単純な戦闘能力だけではなく学習し様々な権謀術を使ってくることもありました。それに最終的な戦いを経て平和な生活を取り戻す。や恋人を救うなどの目的(報酬)がありました。
ヒーローが勝つことによって最後は何かを得る。それがないとは言えないですが、なんか弱いんですよね。
映画が終わった後、ああ、良かった!とか、すっきりした!とかなかったんですよね。
下のストーリーと重なりますが脚本の問題だと思います。

2.ストーリーに目新しさを感じなかった。
今回の敵は、他のシンビオートであるカーネージ。多少状況が変わったと言え、前作「ヴェノム」と同じパターンです。
なんか目新しさを感じなかったなぁ。
前作の方が、様々な登場人物の思惑だったりスケールの大きさであったり、ストーリーでの驚きがあったりで面白く感じました。

3.最大の敵であるカーネージの最大の敵感と悪者感が弱かった。
観客は「主人公がとんでなく苦労してとても勝てそうにない状況からなんとか最後に勝利を得る」ところにカタルシスを覚え、スキっとします。カーネージが寄生しているクレタス・キャサディは連続殺人鬼ではありますが、刑務所から脱獄する際には警察官と就役されている犯罪者の区別をちゃんと行っていて警察官のみを倒していました。
これだったら、(もうすぐ上映ですが)映画「マトリックス」でモーフィアスを救う為にビルに突入し、警察官を容赦なく銃殺するネロ(キアヌ・リーヴス)の方がよっぽど悪っぽい。
連続殺人犯という背景説明ではなくてもっと映像で思いっきり凶悪ぶりを振り切って出して欲しかったなぁと感じました。

4.ヴェノムにマーベル史上もっとも残虐なダークヒーロー感がなかった。
ネタバレしてはあれなのであまり書けませんが、謳い文句にあるような映画を見られた方はご存じの通り「残虐」なシーンってありましたっけ?
1話で融合する前のヴェノムはともかく、共生関係にある続編で難しいのはよく分かります。だからこそストーリーをひねる必要があったと思うのです。

たぶん、ヴェノム3が出ても少なくとも劇場では見ないかな。

やっぱり自分の評価が大事。
ここに「ヴェノム レット・ゼア」公式サイトへリンクを貼っておきました。
予告編3はこちら。かなり上手に作っています。

ダークヒーローって、ヒーローやヴィランより難しい存在なのかも?

実はヒーローって端的に言えば「場当たり的存在」なんですよね。
というのも、
彼らの目的は「人類にあだなす存在を倒して人類を救う」ことなので、悪が出てこないと仕事にならないのです。ヴィランが出てくるから初めて仕事になる。

それに対して、悪者には大きな目的があります。ただその目的が大方の人類の利益に反するだけなのです。自分の財産を増やすために他人を犠牲にすることであったり、単純に捕食することであったり、人類を飼育することで電気を得ようとしたり、何らかの理由によって人類を滅亡させることであったり。

話は戻るかも知れませんが、結果的にダークヒーローは、通常行うことはいわゆる人間のルールを逸脱するんだけど、結果的に人類の為になる行為を行い自身の目的達成を目指す存在のことをいうのかもしれません。

こう考えるとダークヒーローものってかなり難しいです。これがダークヒーローものがあまり続編が続かない理由かも知れませんね。

映画「ヴェノム レット・ゼア」とは関係ありませんが、こちらに同じマーベル作品映画で今も上映中の映画「エターナルズ」の感想記事も書いていますので時間があるかたは是非!